fc2ブログ
AX

Entries

同輩集団の視線
山田昌弘と「『婚活』時代」を共に著した白河桃子の「『キャリモテ』の時代」。

美容に熱心な高学歴・高収入の女性達に「女磨き」アンケートをとったことがある。
「自分は何点に位置するか」という設問に関しては、「50点~80点」までのさまざまなバラつきがあったが、いくつかの共通する傾向が見られた。

1.90%の女性が若い頃よりも自分の点数が上がっていると思っている。
2.80%の女性が「女を磨く努力をすれば、年齢が上がっても女としても価値が上がる」と信じている。
3.ほぼ100%の女性が「同点から10点以上」の男性と結婚したいと思っている。

ほぼ予想通りの結果であった。やはり女性たちが女磨きが好きなのは「努力は報われる」と信じている人が多いからである。

さらに特筆すべきは、「自分がレベルアップしたら、相手の男性もレベルアップすると思うか」という問いには、ほとんどの人が「思う」と答えたことである。しかし、この「思う」がクセモノなのだ。

このアンケートでわかったのは、女磨きが実は男を遠ざけていることに、女性たちは意外に気がついていないということであった。



私がこの本を書こうと思ったきっかけは、ある女性のひと言。

「若い頃はね、自分を磨いていい女になればなるほどいい男が寄ってくると思っていた。でもそれは大間違いよ。誰かもっと早く教えてくれればよかったのに」

その方は一世を風靡した元モデルさんで、後に起業された方。顔よし、スタイルもちろんよし、センスよし、頭もよくて家柄もいい。誰が観ても非のうちどころのないようないい女。そんな彼女でも「納得のいく結婚」に出会うのはすごく苦労したとか。そこで最初のセリフが出たわけだ。

日本の女性の進化に、男性はついてこれなかったのだ。


この手の本を読むと、「現代女性は自分を磨きすぎてしまった。美もキャリアも追求し、自分を磨けば磨くほどイイ男に出会えるはずだと信じて自分を磨いてきたけど、あまりに磨きすぎて、自分を磨いてこなかった多数の男たちはドン引きである」みたいなことがよく書かれている。

同意できる部分もある。
しかし、女性たちはどうして男が引いているのか、その決定的理由に気付いていない。
それは、女性たちが同輩集団の視線を最優先し、自らの視力のみをもって男を正視していないことにある。

「『30代まで待って、そのお相手がこんな男なの?』と、結婚式に出席した友人たちに思われることだけは絶対に耐えられない…」と感じる女性が多いことからも分かるように、女性は、自分が成し遂げてきたことによってではなく、自分がどういう男に選ばれたかによって自分が属する同輩集団(peer)の中での相対的地位が決定される(らしい)。

理解できないではない。1985年改正の男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)以降もあらゆる職場で女が男と平等に扱われているとは到底言えず、ミナコサイトウではない斎藤美奈子があの傑作『モダンガール論』の副題を「女の子には出世の道が二つある。社長になるか、社長夫人になるか」としたことからも分かるように、自分が何者でいるかということよりも自分が何者に選ばれるかを優先するのも生存戦略の一つだ。

しかし、同輩集団の視線を意識しすぎだ。
上ばっかり意識して仕事してる上司をもつことだけは避けたいと日々祈っている男たちは、同輩集団ばっかり意識して男選びをする女にだけはひっかかりたくないと祈っている。

女性たちは、自分の視力が同輩集団の視線によってどれだけ汚染されているのかを見つめ直すべきではなかろうか。それは意識下に追いやられて言語化されていないのだから。

スポンサーサイト





Appendix

プロフィール

ふじぼう

ふじぼう 自己紹介

月別アーカイブ

ブログ内検索

Extra

カレンダー

06 | 2009/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最近の記事+コメント