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ソラ
(温尻2008.6.12)

恋人を飛行機事故で亡くした高橋薫は、葬儀からの帰路、桜を見ながらこう呟く。


こんなきれいな風景 見たことない


槇村さとる『おいしい関係』で最も共感できたシーン。

喪失感、広がる虚無。


人生で一度だけ、空を見上げて「ソラガタカイナ」と感じたことがある。

あれは不思議な感覚だった。比喩ではなくて本当に空が高く遠くにみえた。
現実の世界ではないようだという感じではなく、むしろ反対で、否応なしに現実の世界が存在することを感じさせられたといった感じだった。
気付かぬうちにずっとかかっていたサングラスが不意に外されて、いままで見えていたのとは違う世界がいきなり目の前に現われたといった感じ。
自分と外界を取り結ぶ関係が明確になった感覚。
ああ、ただここに存在している、そんな感覚。

あのとき以来そういう感覚になったことは一度もなく、自分と外界の関係は相変わらず曖昧なままだし、薄い膜に覆われたような、なんとなくボヤけた不明確な感じが続いたままだ。


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出雲の稲妻
20歳・里見香奈が四冠。

里見は、典型的なネット将棋時代の申し子で、出雲という田舎からネット将棋で化け物みたいに強くなり、

「あっ」

という間に女流棋界の頂点に立った。

「女流棋戦のタイトル在位者一覧」を見ると分かるんだけど、清水・中井時代が長く続いて、さてついに千葉・矢内・石橋時代がきたか!と思ったら里見がいきなり四冠で、もう里見時代がしばらく続くだろうと。

羽生が全7冠制覇したように、里見は女流棋戦タイトル6冠を全制覇するかもしれない。

しかし。

囲碁では女性棋士も男性棋士と互角に戦えることがあるのに対して、将棋では奨励会を突破して「プロ棋士」になった女性はかつて一人もいない。清水や中井みたいに強くても、奨励会を抜けて四段(四段からが「プロ棋士」)にはなれなかった。

里見は現在、奨励会の初段。
初段ですら女性で初だけど、プロ棋士になるにはさらに二段、三段を抜けていく必要がある。
楽しみ。

( ^ω^)

※1988年以降の将棋のタイトル在位者一覧



3つの「ぎゃふん」
それを言われてしもたらぎゃふんというしかないってのが、たぶん誰のなかにもあって、ぼくの場合は3つある。

1.戦場に行ったことないくせに。

(;´Д`)ぎゃふん

これはね、もうどうしようもない。
戦争が良いとか必要だとか言っているのではなくて、戦場を経験してるかどうかってので人生は決定的に違ってくるように感じる。


2.子供いないくせに。

(;´Д`)ぎゃふん

これもね、お手上げ。子供がいるかいないかってのも人生に大きな影響を与えると思う。


3.雇われ人のくせに。

これがね、ついに終止符。喜ばしい。一つ減った。


(いまふと思ったんだけど、意外なことに、2と3、「子供がいる非雇われ人」って、なぜだかぼくの周囲にはほとんどいない。不思議だ)


「ぎゃふん」は人によっていろいろ違うと思うんだけど、どうだろう。




「Sweet Home 3D」
自由自在に好みの部屋をドラッグ&ドロップで作成し、3DCGで疑似体験できるフリーソフト「Sweet Home 3D」

開業前に知っておきたかった…

デスクトップもSSDの時代 今人気の256GB SSDはこれだ!

Gmailを確実に便利にする10の方法

ムービー・音楽・画像ファイルをどれでも好きな形式へ変換できるフリーソフト「Adapter」

「Alt+Tab」でウィンドウを見やすく素早く切り替えられる「VistaSwitcher」

本物の絵筆やブラシのようにiPadで自由自在に絵が描ける「Sensu Brush」

防水機能とiPadのデザイン性を両立しつつお風呂やキッチンで安全に使えるようにする薄型ケース

スヌーズや時間指定などの機能を搭載したカウントダウンタイマーを複数設定できる「Free Countdown Timer」

世界各国の高層建築を1メートル当たりの入場料金でランキングするとこうなる

日米の年収・給与・給料の差がよく分かるクリエイティブな仕事の初任給まとめ

脳波に関するデバイスやアプリを自作可能にする脳波測定ヘッドバンド




必須の説話的原型
内田樹氏ブログ「忠臣蔵のドラマツルギー」。

私たちは『忠臣蔵』についての国民的規模での偏愛を抱いている。

いったい、この物語のどこにそれほど日本人を惹きつける要素があるのか。

それを検出するのは、手続き的にはそれほどむずかしいことではない。
というのは、『忠臣蔵』の物語には同時代の『東海道四谷怪談』をはじめとして、無数のヴァリエーションが存在するからである。
もし、無数のヴァリエーションを通じて、「決して変わらない要素」があるとすれば、それこそが『忠臣蔵』の物語的エッセンス、必須の説話的原型だということになる。

さて、驚くべきことだが、そのような物語要素は実は一つしかないのである。
数知れない『忠臣蔵』ヴァリエーションの中には「松の廊下」の場面をカットしているものがあり、「赤穂城明け渡し」をカットしているものがあり、極端な場合には「討ち入り」の場面をカットしているものさえある。だが、絶対にカットされない場面がある。

それは「大石内蔵助/大星由良之助の京都の茶屋での遊興の場面」である。

そこから私たちはこのエピソードこそ、それ抜きでは『忠臣蔵』という物語が成立しなくなるぎりぎりただ一つの物語要素だと推論できるのである。

『忠臣蔵』では、浪士たちの人物造形にはある程度の自由度が許されている。
例えば、堀部安兵衛は浪士たちの中ではもっともカラフルな履歴を誇る武士だが、ヴァリエーションごとに造形が違う。ある物語では彼は思慮深く、温厚な人物として描かれ、別の物語では、好戦的で、軽率な青年として描かれる。どう描こうと、物語の骨組みに影響はないから、そのような自由裁量が許されるのである(そもそも『仮名手本忠臣蔵』に安兵衛は登場さえしない)。
他の登場人物についても同様である。浅野内匠頭も、幼児的ではた迷惑な人物として描かれる場合があり、筋目の通った爽やかな武士として描かれる場合もある。どちらであっても、物語の骨組みは揺るがない。

だが、大石の場合はそれが許されない。
あらゆる『忠臣蔵』ヴァリエーションを通じて、大石内蔵助を演じる役者には絶対に譲れない役作り条件が課されている。

それは「何を考えているのか、わからない男」であることである。

『忠臣蔵』というのは「不安」のドラマなのである。
大石という、仇討ちプロジェクトの総指揮者であり、資源と情報を独占して、浪士たちの生殺与奪の権利をにぎっている人物が何を考えているのか、わからない。
ほんとうに討ち入りはあるのかと疑う同志たちの猜疑心。討ち入りがいつ来るか怯える吉良方の人々の怯え。公的な裁定への暴力的な異議申し立てがなされることに対する統治者の側の不安。血なまぐさいスペクタクルを期待している大衆の苛立ち。主君の仇を討つというヒロイックな企てを浪士たちが利己的な理由で放棄した場合、「武士道倫理の卓越性」という武士による統治の根本原理が崩れることへの武士階級全体の困惑・・・

無数の不安が「大石が何を考えているのかわからない」というただ一つの事実の上に累積してゆく。
大石が自分の命を賭して主君の仇を討てば、「武士道倫理」へのクレジットが加算される。彼が現世の快楽と保身を優先させるのであれば「人間なんて、しょせん色と欲で動かされる利己的な生き物にすぎない」というシニックな人間観へのクレジットが加算される。
果たして、大石はパセティックな倫理に賭け金を置くのか、シニックなエゴイズムに賭け金を置くのか、人々は息をつめてみつめている。そして、最後に、大石の決断によって、この過度に引き延ばされた非決定状態は劇的な仕方で解決される。
『忠臣蔵』のカタルシスはそのように構造化されている。

「全権を握っている人間が何を考えているのかわからない」とき日本人は終わりのない不安のうちにさまざまな解釈を試みる。
そのときに、日本人の知性的・身体的なセンサーの感度は最大化し、想像力はその限界まで突き進む。
中心が虚であるときにパフォーマンスが最大化するように日本人の集団が力動的に構成されている。

たぶんそういうことなのだ。

だから、それが天皇制の政治力学と構造的に同一であることに私はもう驚かない。


同感。天皇制(不在の中心)は、日本人が自らのパフォーマンスが最大化するように設計されたもので、枝葉末節をとらえて是非を論じてみても意味がない。



カプホ潜入に成功
最近、かなり真っ当な老舗の某物品販売店などから「貴ブログは文学や芸術に真摯に…」と相互リンク依頼がきたり、さらにネタ速的サイトから連続トラバされたりする。

うーん…。

木曜夜、ナポやTマカオUから「最近、過去の迂回の引用ばっかじゃないっすかー。アメジョはないんっすか?」と腐されて(ってかまたアメジョかよww)、「いやぁほんま今まともなエントリ書いてる時間あらへんねん」と答えたんだけど、あああ確かに過去の迂回の真っ当なエントリの引用が多くて「文学や芸術に真摯に…」だなぁと反省しきり。バカエロが全くない。ちんぽとかふぁっくとか久しく書いてない。

ま、しばらくはこんな感じでいくですよ。
修■習・仕事・留学・開業と、(図らずも)日常ネタを提供してきた迂回だけど、今がダントツ時間ないんで。

あ、そうそう、カプホ潜入に成功してシャワー500円行ってきたですよ。
こないだ間違えて入ってしまったネットカフェの1000円シャワーに比べると、価値は1/4くらいでビミョーなところ。

(・д・)ビミョー


もうすぐ別のあたしになる
益田ミリ『結婚しなくていいですか。/すーちゃんの明日(PC) (携)で最も痺れたシーンを、小倉千加子が『結婚の才能』で扱っていて再び痺れた。

未婚の主人公すーちゃんが妊婦の友人まい子さん(35歳)と久しぶりにランチをする。

すーちゃんは帰路、「はぁ、やっぱり赤ちゃんのことばかり聞いてしまったなぁ、でもまい子さんが妊娠してるのに他の話をするのもどうかと思うし…。」

さて、この漫画が凄いのは、妊婦まい子さんの帰路の心象についても書いたことで、小倉が扱ったのもそこだった。

(1コマにセリフ1行だけが入る)

まい子です
35歳のにんぷです
去年、お見合いで結婚しました
産休をとれる雰囲気もなく、会社は辞めました
来月産まれるお腹の赤ちゃん
早く会いたいよ~
おだやかで幸せな日々です
これでいい
これも、また、よかった
と、思う半面
結局、こうきたか
と思うあたしもいる
10年前に結婚してても同じだったかも
がんばって働いて
仕事も任されるようになって
そういえばあの頃、肌も荒れていたけれど
今は無職の
にんぷさん
大学も、会社も、結婚も
選んできたのは、あたし
これから先も
あたしは何かを
選べるのかな?
なぜだろう、
もうなんにも選べないような気がするのは
さよなら
さよなら、あたし
もうすぐ別のあたしになる
ママになって、あたしはきっと、変わるんだと思う
この子以外に大切なものなんかなくなるんだろうな
新しい幸せ~
だけど、
さよならしたほうの
あたしの、
あたしの人生も
ずっと自分で選んできたけれど、
選ばざるを得なかったこともある
またいつか、何かをはじめられるのかな~
でも、会っておきたかったんだ、すーちゃんに
今のあたしで


この最後の2コマにはあまりに多くの情報がつまっている。

まい子さんも少し前まですーちゃんだった。自分の人生に少なからぬ疑問をもち、自分の未来に対して漠然とした不安を感じていた。
だからランチのときにすーちゃんが自分に対して遣ってくくれた気持ちの種類がよく分かる、とは必ずしも言えないのかもしれない。まい子さんにはもう分からないのかもしれない。妊娠前の自分が、他の妊婦がもつ奇妙な優越感と無神経さに感じた苛立ちを忘れてしまっているのかもしれない。

結婚は制度の問題だけど、出産は生物としての次元で処理される。
結婚が決まったばかりの女性に特有のあの、私は一人の男から選ばれた、私は一人の男から庇護されるのだ、というあの臭いは気持ちのいいものではないけれど、しかし結婚はたかだか制度の問題であるがゆえに女性に知性と想像力があれば自分のその感覚に自覚的でいられる。が、出産は全く別次元だ。

出産をした女性が未出産の女性に対してもつ感覚、そしてその逆ってどんなものなのだろう。これは女性にしか分からないのかもしれない。

女性にとって結婚と出産には多くのものをリセットしてしまえる特殊な力があるが、結婚と出産では決定的に異なる何かがある。

「でも、会っておきたかったんだ、すーちゃんに/今のあたしで」というまい子さんは悪い人だ!と感じたのではない。
違う。そういったものとは無縁の、業とか不条理に近い、いかんともしがたい何か、だ。
そのいかんともしがたさと、まい子さんが保ったぎりぎりの奇跡的な自覚、もうすぐ自分はその自覚さえ失うだろうというお別れの儀式にすーちゃんが必要だった、そのことを表現した益田ミリにぼくは痺れたのかもしれない。


さよなら、あたし
もうすぐ別のあたしになる



肉三昧でタニタ体組成計とはこれいかに。
20日(日)
TO、T橋くん、ネトリYT、TAD社長T橋さん、MOご来所。
その後某邸にて(TO彼女にもご参加頂き)開業祝いBBQ。
T橋くんが早朝から銚子で大漁の鮮魚ご持参。
みんな、あざっす!


22日(火)
JTご来所。その後F先輩、JT、Y岡、Cっち、Yちゃん、Sくんと某所にてWE■SS大同窓会の幹事会打ち上げ。
みなからタニタの体組成計を頂戴す。感激。
みんな、あざっす!


23日(水)
MHくんご来所。
一献の後、新橋SL広場へ将棋名人戦第4局盤上解説に行くも(羽生勝利にて)既に終了。がーん。
飲み直し。


24日(木)
ナポ、TマカオU、M上ご来所の後、4人で開業祝い焼肉(をちょうど今頃食べているはずw)
みんな、あざっす!

(´-`).。oO(日曜・火曜・木曜と焼肉。焼肉は毎日食べても飽きない!)


25日(金)
不動産関係チーム6人で某悪所にて開業祝い。
あざっす!と先に言っておこうw

ヽ(´ー`)ノ



UNIQLO WAKE UP
菅野よう子の音楽が流れるユニクロの目覚ましアプリ「UNIQLO WAKE UP」

いまフジテレビのノイタミナ枠で放送してる「坂道のアポロン」の音楽が菅野よう子なんだけど、オープニングをYUKI(JUDY AND MARY)が全然歌い切れていない哀しさ…

NTTドコモと角川書店が月額420円でアニメ見放題サービス「アニメストア」を7月提供開始へ

デュアル端子でスマホとPCの両方に対応した「パーフェクトUSBメモリ」レビュー

データ通信量をディスプレイ可能なXi対応モバイルWi-Fiルーター「L-04D」、2012年10月以降のXi月間7GBまでの制限に対応

5GBが無料の「Amazon Cloud Drive」へ簡単に一発でアップロードできる「Amazon Cloud Drive Desktop App for Windows and Mac」

Dropbox内のファイルをメールフィルタのように自動で振り分けてくれるウェブアプリ「Sortbox」

マルチメディアプレイヤー「VLC」が10億ダウンロードを達成

(´-`).。oO(すげぇ…)



新型Kindleは7月?新型iPhoneは4インチ以上?
Amazonがフロントライト搭載の新型Kindleを7月にリリースか

新型iPhoneは画面サイズ4インチ以上の大画面モデルか


冷たいあんずの甘酸っぱさが心地良いハーゲンダッツ「アプリコットタルト」

57カ国以上で飲まれる米国No.1エナジードリンクが上陸「モンスターエナジー」

世界中の旅人が選んだ2012年人気観光都市トップ25


「Galaxy S Ⅲ」900万台の事前予約注文が全世界の通信キャリアから殺到、最終的には5000万台も

ムービー再生とウェブ閲覧が同時にできる「Galaxy S Ⅲ」の機能をムービーでチェック


脱獄済みiPhoneの空き容量をアップしてくれる『iCleaner』

複数デバイスでのタブ同期機能が追加された「Google Chrome 19」安定版リリース


人を動かすプレゼンをするために知っておくべき7つのルール



生産性アップのテクニック
アメリカ人が選ぶ生産性アップのテクニック・ベスト5

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ダルビッシュ、チームが称賛する「気概」

【仏1000ギニー】ディープ産駒、初の海外G1制覇!


Facebook 利用者が増加している国 Top 10―日本は65.99%増加して3位




人物
カリフォルニアでも世話になったKN、「将たる器」で書いたCM、二人が4月から東京に戻ってきたので、開業祝い飲みだ!ということで金曜、新橋で飲んだ。

んで店から事務所に戻ってきて続けて飲んでいるとき、「新橋に事務所があると俺らも便利だな~」と怪しく目を輝かせている二人を遠い目で見ながら、「こういうやつらを『人物』って言うんだなぁ」と今更ながら思った。


以前、『竜馬がゆく』から司馬遼太郎の言葉を引用した。

「大賢は愚に似たりと古語にもいうぞ。鋭さを面にあらわして歩いているような男は才物であっても第二流だ」

二人が楽しそうに話しているのを聞いていると、その視線は日本という枠から大きく出て、そして未来を見据えており、溢れ出るアイデアも斬新と、ばかみたいに頭がいいんだけど、鋭さが微塵もその面にあらわれていない。あまりに器が大きいから。

彼らと話していると、自分のなかでギュっと何か引き締まるというかガバっと広がるというか、そんなものがある。

「こいつら…、百や千どころか万は優に率いるな…」と思わせてくれる本邦随一の男たちとの幸福で贅沢な時間を、言葉にするのは難しく、野暮というものか。


凄いやつらは、いつだって楽しそう!


ヽ(´ー`)ノヽ(´ー`)ノ



名言
 
バカでも経営できる企業を探しなさい。
いずれそういう人間が経営者になるのだから。

ウォーレン・バフェット



名言
アンドリュー・カーネギーの墓碑に刻まれた言葉

Here lies one who knew how to get around him men who were cleverer than himself.

自分より賢い人々を周囲に集める術を知っていた者、ここに眠る。




限りなく物質に近い生命体?
(温尻 2009.02.22)

福岡伸一『生物と無生物のあいだ』。

科学者は、細胞一般をウェットで柔らかな、大まかな形はあれど、それぞれが微妙に異なる、脆弱な球体と捉えている。ところがウィルスは違っていた。それはちょうどエッシャーの描く造形のように、優れて幾何学的な美しさをもっていた。あるものは正二十面体の如き多角立方体、あるものは繭(マユ)状のユニットが螺旋状に積み重なった構造体、またあるものは無人火星探査機のようなメカニカルな構成。そして同じ種類のウィルスはまったく同じ形をしていた。そこには大小や個性といった偏差がないのである。なぜか。それはウィルスが、生物ではなく限りなく物質に近い存在だったからである。

ウィルスは、栄養を摂取することがない。呼吸もしない。もちろん二酸化炭素を出すことも老廃物を排泄することもない。つまり一切の代謝を行っていない。ウィルスを、混じり物がない純粋な状態にまで精製し、特殊な条件で濃縮すると、「結晶化」することができる。これは、ウェットで不定形の細胞ではまったく考えられないことである。結晶は同じ構造を持つ単位が規則正しく充填されて初めて生成する。つまり、この点でもウィルスは、鉱物に似たまぎれもない物質なのである。ウィルスの幾何学性は、タンパク質が規則正しく配置された甲殻に由来している。ウィルスは機械世界からやってきたミクロなプラモデルのようだ。

しかし、ウィルスをして単なる物質から一線を画している唯一の、そして最大の特性がある。それは、ウィルスが自らを増やせるということだ。ウィルスは自己複製能力を持つ。ウィルスのこの能力は、タンパク質の甲殻の内部に鎮座する単一の分子に担保されている。核酸=DNAもしくはRNAである。

ウィルスが自己を複製する様相はまさしくエイリアンさながらである。ウィルスは単独では何もできない。ウィルスは細胞に寄生することによってのみ複製する。ウィルスはまず惑星に不時着するように、そのメカニカルな粒子を宿主となる細胞の表面に付着させる。その接着点から細胞の内部に向かって自身のDNAを注入する。そのDNAには、ウィルスを構築するのに必要な情報が書き込まれている。宿主細胞は何も知らず、その外来DNAを自分の一部だと勘違いして複製を行う一方、DNA情報をもとにせっせとウィルスの部材を作り出す。細胞内でそれらが再構成されて次々とウィルスが生産される。それら新たに作り出されたウィルスはまもなく細胞膜を破壊して一斉に外へ飛び出す。

ウィルスは、生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである。もし生命を「自己複製するもの」と定義するなら、ウィルスはまぎれもなく生命体である。ウィルスが細胞に取り付いてそのシステムを乗っ取り、自らを増やす様相は、さながら寄生虫とまったくかわるところがない。しかしウィルス粒子単体を眺めれば、それは無機的で、硬質の機械的オブジェにすぎず、そこには生命の律動はない。

ウィルスを生物とするか無生物とするかは長らく論争の的であった。いまだに決着していないといってもよい。それはとりもなおさず生命とは何かを定義する論争であるからだ。本稿の目的もまたそこにある。生物と無生物のあいだには一体どのような界面があるのだろうか。私はそれを今一度、定義しなおしてみたい。


分子生物学者である福岡伸一は名文家。言葉の使い方が的確でイメージが浮かびやすい。

この本がバカ売れしているのは納得できる。




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