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少年犯罪を消費する欲望
(温尻2009/9/22)
斎藤環『心理学化する社会』
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不謹慎を承知で私もあえて失言してみよう。これらの一切は、あきらかに「祭り」ではなかったか。メディアも私たちも、語るべき少年犯罪の長き不在に飢えていたのではないか。(神戸以来)長崎の事件はあたかも六年ぶりの慈雨のように、私たちの「欲望」を満たしはしなかったか。この種の「欲望」については口をぬぐい、その一方で犯罪の予防を要請する欺瞞とは私は共存できない。これが「祭り」であったことを証明するのは簡単だ。多くのマスコミや専門家は、現実を無視して「少年犯罪の増加・低年齢化・凶悪化」を指摘した。しかし犯罪白書などの統計データをみれば一目瞭然であるように、これらの指摘は事実に反している。十二歳、あるいはそれ以下の年齢の殺人事件ですら、過去にいくつも前例がある。メディアはなぜその事実を積極的に述べないのか。考えられる理由はただ一つ。誰もせっかくの「祭り」に水を差すような野暮はしたくないからだ。
▲
「少年犯罪は増加・低年齢化・凶悪化している」とメディアで言われ始めたのは最近のことではなく、1980年代からである。
これに対して専門家は「そんな事実は全く存在しない」と言い続けてきた。
にもかかわらず少年犯罪に関する言説状況は変わらない。
少年凶悪犯罪補導・検挙数が最高だったのは1960年の8112人。1997年は2263人。
増加していない。
凶悪化もしていないし、低年齢化もしていないし、意味不明な犯罪・動機なき犯罪も増えていない。
おまけに日本の若者は世界で一番「人を殺さない」人たちである。
日本における殺人者の出現率は人口10万人あたり1.1人と世界最低レベルで、これは、一般には最も殺人を犯しやすい20代前半の殺人者出現率が低下したことが寄与している。1955年には10万人あたり23人だったのが、1990年代以降は2人で推移している。この40年間で1/10に減少。
若者の世代に殺人者率のピークがない国は日本以外におそらく存在しないと言われている。
それくらい日本の若者は人を殺さない。
「物語」は分かりやすい。
家族関係希薄の物語、ゲーム脳という物語、現実と虚構の混同という物語、心の闇という物語、トラウマの物語、若者の性風俗の乱れという物語。
理解不可能なものを前にして、自分の通念による解釈が機能不全に陥ったとき、人がとる対応は次の3つのいずれかである。
1.排除
2.物語化による消化
3.保留
脆弱な知性は必ず前二者を選択する。
1と2は安易な着地、3は漂いうる知性。
斎藤環『心理学化する社会』
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不謹慎を承知で私もあえて失言してみよう。これらの一切は、あきらかに「祭り」ではなかったか。メディアも私たちも、語るべき少年犯罪の長き不在に飢えていたのではないか。(神戸以来)長崎の事件はあたかも六年ぶりの慈雨のように、私たちの「欲望」を満たしはしなかったか。この種の「欲望」については口をぬぐい、その一方で犯罪の予防を要請する欺瞞とは私は共存できない。これが「祭り」であったことを証明するのは簡単だ。多くのマスコミや専門家は、現実を無視して「少年犯罪の増加・低年齢化・凶悪化」を指摘した。しかし犯罪白書などの統計データをみれば一目瞭然であるように、これらの指摘は事実に反している。十二歳、あるいはそれ以下の年齢の殺人事件ですら、過去にいくつも前例がある。メディアはなぜその事実を積極的に述べないのか。考えられる理由はただ一つ。誰もせっかくの「祭り」に水を差すような野暮はしたくないからだ。
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「少年犯罪は増加・低年齢化・凶悪化している」とメディアで言われ始めたのは最近のことではなく、1980年代からである。
これに対して専門家は「そんな事実は全く存在しない」と言い続けてきた。
にもかかわらず少年犯罪に関する言説状況は変わらない。
少年凶悪犯罪補導・検挙数が最高だったのは1960年の8112人。1997年は2263人。
増加していない。
凶悪化もしていないし、低年齢化もしていないし、意味不明な犯罪・動機なき犯罪も増えていない。
おまけに日本の若者は世界で一番「人を殺さない」人たちである。
日本における殺人者の出現率は人口10万人あたり1.1人と世界最低レベルで、これは、一般には最も殺人を犯しやすい20代前半の殺人者出現率が低下したことが寄与している。1955年には10万人あたり23人だったのが、1990年代以降は2人で推移している。この40年間で1/10に減少。
若者の世代に殺人者率のピークがない国は日本以外におそらく存在しないと言われている。
それくらい日本の若者は人を殺さない。
「物語」は分かりやすい。
家族関係希薄の物語、ゲーム脳という物語、現実と虚構の混同という物語、心の闇という物語、トラウマの物語、若者の性風俗の乱れという物語。
理解不可能なものを前にして、自分の通念による解釈が機能不全に陥ったとき、人がとる対応は次の3つのいずれかである。
1.排除
2.物語化による消化
3.保留
脆弱な知性は必ず前二者を選択する。
1と2は安易な着地、3は漂いうる知性。
- 2012-06/26 21:00
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あ、今日、忘年会で某友人から「勝手に迂回やめてんじゃねーよ!」と怒られましたw
愛されてたんだんなぁ、迂回…ふじぼう最後の迂回お疲れ様でした!完全に個人的な話ですが、結婚式の時の投稿と地震の時の投稿、ありがとうございました!MH「どうして迂回を書き続けるんですか?」と聞かれ>TOさん2時間ほど前から別宅パソコンの前に座り、youtubeをいろいろ観ながら、明日のエントリで何を書こうか考え続けてるんですが、どうしたものか、うーん、よし、ここは名言シふじぼう「どうして迂回を書き続けるんですか?」と聞かれ明日、明日、俺の10年間の習慣が終わる。
さようなら、夜のある時刻を過ぎれば、ブックマークの中の迂回をタップし続けた俺。
さようなら、「今日も予約投稿じゃねーか。『名言』TO迂回の閉幕>KT嬢あざっす!
いやぁ、ほんと、感慨深い、深すぎですね…
「あの描写はダメ!削除で!」と命じられたのが昨日のようで…笑ふじぼう迂回の閉幕楽しかったです遅くなりましたが、、
ブログ楽しかったです!
始まった時期を考えると、感慨深いですね…KT迂回の閉幕>JTさんあざっす!
予想以上に長くつづきましたわ笑ふじぼう迂回の閉幕長らくありがとう。10年近くの長きにわたり、楽しませてもらいました。仕事に疲れてのぞきにいくと、面白いことがたくさん書いてあったなあ…どうもありがとう。最後の投稿まで楽しみにしていJT迂回の閉幕>TOさんあざっす!
迂回の言霊は永遠、うん、なんか完全に同感ですわw
(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎ふじぼう迂回の閉幕さようなら。迂回の言霊は永遠です。TO